「契約」とは

普段意識をしていないかもしれませんが,私達は日常生活を送る上で,様々な「契約」をしております。

コンビニやスーパーで物を買うときには「売買契約」,会社で働いて給料をもらうのは「雇用契約」,マンションの一室を借りて住んでいるのであれば「賃貸借契約」がなされています。その他にも,携帯電話の使用,ガス・水道光熱費の利用,地下鉄等の公共交通機関の利用なども全て「契約」に基づいております。

文書を作成しない場合でも,「契約」が成立することがあります。ただ,消費者を保護するために,法律上,一定の類型の契約には書面の作成が求められますし,また,法律上求められていなくても,当事者が契約内容を明確にして後日の紛争に備えるために書面を作成することもあります。取引金額が多額になる場合には,書面が作成されることが多いといえます。

さて,契約内容が法律に違反していないことを前提として,契約が成立した後に,状況が変わったことを理由として一方当事者の希望で,契約内容を変更することはできるでしょうか?

他方当事者が希望を受け容れてくれれば変更できるでしょう。しかし,受け容れてくれなければ,変更することはかなり難しいといえます。

裁判例では,「事情変更の原則を適用するためには,契約締結後の事情の変更が,契約締結時の当事者にとって予見することができず,かつ,右当事者の責めに帰することのできない事由によって生じたものであることが必要である。」とされています。事情変更が認められる例として,学説では,戦争,大災害,インフレによる対価関係の著しい破壊,法令の変更等が挙げられています。滅多なことがないかぎり,事情変更を理由に契約内容を変更することはできないといえるでしょう。

取引金額が多額になる場合,契約書を作成しますが,文字が細かいということもあり,良く読まない人が多いかもしれません。しかし,事情変更はほとんど認められないのですから,契約をする前に,どんな内容であるかを確認しなければなりません。少しでも不安に思うようなことがあれば,契約をする「前」に,専門家に相談したほうが良いでしょう。

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